おはなし会のしかた
図書館が定期的に行っている「おはなし会」を開催するにあたって、職員やボランティアの方に伝えている内容や、一般的に言われていることをまとめました。地域や学校で、おはなし会サークルやボランティアとして活動されている方へ参考になれば幸いです。
- おはなし会とは
- 最適な空間づくり
- プログラムの組み立て方
- プログラムをつくるときのチェックリスト
- 中央図書館のプログラムの例
- 絵本の読み聞かせ
- 読み聞かせQ&A
- その他の出し物
- 活動に役に立つブックリスト
おはなし会とは
その名のとおり、子どもにお話を読んで聞かせる会ですが、この会はとても大切な要素をいくつか含んでいます。
- 子どもと本を結びつける
本に対する興味を育て、読書する素地をつくります。 - 読み手と聞き手のコミュニケーション
一方通行のテレビなどとは違い、生の声が語り、生のコミュニケーションが生まれます。 読み手と聞き手の信頼関係をつくり、おはなしの世界をいっしょに楽しむことができます。 - 豊かな時間づくり
おはなしの時間をとって、ゆっくり読み聞かせることは、子どもにとって喜びとなります。 子どもとの喜びの時間は、今後ますます大切になってくるでしょう。
最適な空間づくり
- 1人1人がよく見えるように
読み手を中心に扇形に座るのが理想の形。端のほうに座っている子は、絵が見えづらいので注意が必要です。心配であれば子どもたちに見えるか聞いてみてください。子どもの目線は少し斜め上を向くように、子どもたちが床に座るようなら読み手は椅子に座りましょう。 椅子に座るようなら立って実演するようにしましょう。 - 周囲の物音や人の気配をシャット
人の声や気配というものは、気になってしまうものです。しかし完全にシャットするのは難しいので、 窓やカーテンを閉めたり、出入口を子どもの背中のほうに来るように、座る位置を工夫するのも手です。 - 照明
照明は明るすぎず、暗すぎずが基本。絵本などつるつるした面は、 具合によっては光って見えないことがあるので、本番前にチェックしてもらうといいでしょう。
プログラムの組み立て方
平塚市図書館のおはなし会は、だいたい30分間をめやすにしています。 子どもたちが集中しておはなしを聞くには、だいたいそのぐらいの時間が適当なようです。絵本だと3~4冊読めます。
全体の流れは、【あいさつ→導入→出し物1→導入→出し物2→導入→出し物3→あいさつ】です。 導入は、おはなしから次のおはなしに自然と移行できるようにするなくてはならないものです。
- 導入の例:ねずみが主人公のおはなしからゾウが主人公のおはなしに移行するとき
- 「(おはなしが終わって・・・)今のおはなしは、小さいねずみが活躍するおはなしでしたが、 今度はもっともっと大きい動物が出てきます。なんだかわかる人? (子どもたちに言ってもらう)そう、(表紙などを見せながら)次のおはなしはゾウが主人公のおはなしです。 それでははじめますね」
- ポイント1 テーマを決めよう
- 各々やりたいものを持ってくるより、事前に打合せをし、テーマなどを決めて統一感を出したほうが、全体の流れもよくなります。
- ポイント2 季節や行事とのタイアップをしよう
- 学校行事や季節の行事とあわせると、子どもたちもおはなしの世界に入りやすいようです。
- ポイント3 普段から子どもたちに接しよう
- 普段から読み聞かせる子どもたちに接し、理解できること、できないことを知りましょう。読み手の一人歩きを防ぐ大切なことです。
出し物が決まったら、下のチェックリストで無理がないか、偏りがないかなどのチェックをしてみましょう。 図書館のおはなし会のプログラムも参考にしてみてください
プログラムをつくるときのチェックリスト
- 長いおはなしの後に、また長いおはなしがきてしまってはいないか
長いおはなしばかりでは、子どもたちも飽きてしまいます。 長くしっかりとしたおはなしの後には、短く気軽に楽しめるおはなしを入れるのも手です。 - 似たようなおはなしばかりではないか、逆におはなしの内容や雰囲気が、あまりにかけはなれてはいないか。
- 絵本ばかりではないか
紙芝居やストーリーテリングなどを組み込んで、絵本ばかりにならないようにしましょう。 途中でわらべうたや手遊びなどを組み込んで、いったんリラックスさせるなど、メリハリをつけましょう。
中央図書館のプログラムの例
中央図書館でも、ボランティアによるおはなし会を毎週水曜日15:30から30分程度おこなっています。
プログラムが自然と流れを持つように工夫している点として、図書館がおこなう特集展示や、 はたまたその日の工作の内容に合わせるなどしています。参考にしてみてください。 (おはなし会に参加している子どもの年齢は、およそ3歳くらいからです。)
季節に合わせた過去のプログラムの例
- 12月27日
- クリスマスが過ぎ、お正月直前のおはなし会。季節にあわせ、みなさんお正月の出し物を持ち寄りました。
〔絵本〕お正月さまござった
〔絵本〕十二しのはじまり
〔工作〕みんなでつくる十二支のどうぶつたち - 4月25日
- この日のテーマは「こどもの日」
〔絵本〕きんたろう
〔紙芝居〕こいのぼりさんありがとう
〔工作〕こいのぼりモビール
図書館の特集展示とのタイアップしている例
- 1月24日
- このときの図書館特集展示は「鬼がでてくるおはなし」でした。
〔絵本〕おにとあかんぼう
〔絵本〕おにまるのヘリコプター
〔工作〕おにさんでてこい
さまざまな出し物をおり混ぜている例
- 2月21日
- 〔紙芝居〕はるのこうま
〔絵本〕はじめてのようちえん
〔大型紙芝居〕おだんごころころ - 4月18日
- 〔絵本〕ゆうこのキャベツぼうし
〔エプロンシアーター〕おおきなかぶ
〔絵本〕カクレンボジャクソン - 10月17日
- 平塚市美術館で実施された「絵で読む宮澤賢治展」とタイアップしたおはなし会でした。
〔絵本〕オオカミのともだち
〔詩〕雨ニモ負ケズ、風の又三郎の冒頭
〔紙芝居〕雪わたり
絵本の読み聞かせ
絵本の選び方
- 大きさ
- 小さすぎたりせず、ある程度の大きさは必要です。
- 見え方
- 絵は遠目がきくものを選びましょう。
- バランス
- 絵と文章のバランスがうまくとれていることをチェックしましょう。文章が多すぎると、見ている子どもたちは飽きてしまうこともあります。
- 内容
- 対象の年齢や時期を考慮しましょう。季節や行事などにあわせると、子どももおはなしに入っていきやすくなります。
- 好きかそうでないか
- 自分が好きだ、読み聞かせたい!という思いは自然と子どもに伝わります。 また、そういった本の雰囲気は、読み手のキャラクターなどと自然にマッチするので、 読み手らしいとても素敵な読み聞かせになります。
絵本を選んだら、予備の絵本も選びましょう。当日に持っていった本が、 その日の子どもたちにそぐわないこともあります。余裕があったらもっていきましょう。
開きぐせをつける
- 新しい本やペーパーバックは、ページがとじやすく読みづらいので、開きぐせをつけましょう。
絵本の持ち方、めくり方
絵が隠れないように、片方の手で絵本の中心(とじの部分)を持って、 もう片方の手は絵本がぐらつかないように端に添えましょう。 ぐらぐらしてしまうと子どもの集中力がそがれてしまうので、しっかり支えましょう。 とはいえ、ぐらつかないようにするのは至難の業です。練習と経験あるのみ!
絵本の読み方
- 声の大きさ
- 一番うしろにいる人にも聞こえるように声を出しましょう。 しかし、出しすぎて怒鳴っているように聞こえてもいけません。 姿勢を正しおなかをしめれば、おのずと声は出てきます。
- 速さ
- あまりに速すぎても遅すぎてもいけませんが、一定のリズムで終始読んでしまうと、おはなしも単調になってしまいます。読む絵本の内容を理解して、場面が変化するところなどはイメージを持ってテンポに気をつけて読むと良いでしょう。初めてのときは、気づかないうちに速く読みがちなので、ゆっくりすぎるくらいでいいかもしれません。
- 声色
- 読み聞かせをするとつい、おばあさんの声はしわがれ声、小さいねずみの声は高い声でちょこまかと・・・ というふうに声色を変えてしまってはいませんか?そうなってしまうと、子どもは絵本の世界ではなく、 読み手の「芸」を楽しんでしまいます。主役はあくまでも絵本ということを心に留めておきましょう。
読み聞かせQ&A
Q:おはなし会では、みんながよく知っているような目新しくない作品、 以前に読んだことがあるような作品は、避けるべきですか?
人気のある本や長く読みつがれている作品は、何度でも 。
子どもたちは、好きな作品を何度でも楽しむことができます。また、違う読み手が読み聞かせることによって、新たな一面を発見し、作品の世界観を広げることができます。
Q:おはなしの途中で間違えてしまいました。
気にせずそのまま読み進めましょう!
「間違えちゃった!」など、自ら言ってしまうと、おはなしが途中で切れてしまいます。気にせずそのまま読み進めるほうがよいでしょう。
どうしても気になるようでしたら、あまり大げさにせず、軽く謝る程度にしておいて、おはなしの世界を壊さないようにしましょう。
Q:読み聞かせをおこなうときの服装は?
あなたらしい服装でOK!
絵本などを際立たせるために、黒いシンプルな服を選ぶとよいとされていますが、そこまでこだわらなくても大丈夫です。あまりに華美ものは避けるべきですが、 着ていても見ていてもリラックスできるような、普段の服装がよいでしょう。
その他の出し物
- 紙芝居
- 大型絵本、大型紙芝居
- パネルシアター
- エプロンシアター
- 指人形、てぶくろ人形
- ストーリーテリング(素ばなし)
- ペープサート
活動に役に立つブックリスト
- 図書
- 『読み聞かせわくわく ハンドブック~家庭から学校まで~』代田知子著、一声社、2001
- 『おはなしおばさんの小道具』藤田浩子編著、一声社、1996
- 雑誌
- 「この本読んで!」 財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)